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神戸の坂の上にある空き家へ大学生が挑戦、斜面地の再生で問われる若者参加と出口づくり

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ニュースの概要

神戸の坂の上に残る空き家を、大学生が活用しようと動き出したことをNHKニュースが伝えた。神戸は海と山が近く、住宅地の多くが急な斜面に広がる街である。坂の上の家は眺めがよい一方、高齢化や車が入りにくい道のせいで住み手がつきにくく、空き家になりやすい。そこに学生が入り、建物の使い道を考えて形にしていく試みだ。空き家は全国で約900万戸に上り、行政や不動産会社だけでは手が回らない。若い世代が当事者として関わる意味を、斜面地という条件も踏まえて考えたい。なお本稿は報道の概要を前提にした独自の考察であり、個別の事業内容は報道や関係者の発表で確認してほしい。

引用元: 神戸 坂の上の空き家活用に大学生が挑戦(NHKニュース)

分析・見解

坂の上の家が空き家になりやすい三つの条件

神戸は六甲山地と海にはさまれた細長い土地に市街地が広がり、住宅地が斜面を駆け上がるように連なる。眺めは魅力だが、空き家になりやすい条件も重なっている。第一に、階段や細い坂道のせいで車が入れず、買い物や通院の負担が大きい。第二に、建て替えや改修では資材の搬入に手間がかかり、工事費が平地より膨らみやすい。第三に、住民の高齢化が一斉に進み、相続した子世代が遠方で暮らしている例が多い。

全国の空き家は2023年の調査で約900万戸、住宅全体の13.8%に達した。斜面地では、放置された家の崩れや落下物が下の道や家に被害を及ぼしかねない。平地の空き家より、見過ごせない度合いが高いのである。

学生は坂の不便を個性に読み替える翻訳者になる

空き家の活用というと、売るか貸すかの二択で語られがちだ。しかし坂の上では、買い手も借り手も見つけにくい。そこで学生の出番になる。学生は収益を最初の条件にせず、住まい、作業場、地域の集会所、小さな店など、幅広い使い方を試せる。

私が注目したいのは、学生が坂の「不便」を「個性」に読み替える翻訳者になりうる点だ。尾道や長崎の坂の街でも、外から来た若者が階段や路地を魅力として発信し、人の流れを変えた例がある。住民には当たり前で気づけない価値を、外の目が言葉にする。この役割は、改修の労働力よりも大きな貢献になる場合がある。

卒業で担い手が替わる四年の壁をどう越えるか

一方、学生の活動には「四年の壁」がある。卒業で担い手が入れ替わり、鍵の管理、近所との関係、修繕の記録が途切れやすい。ゼミ単位の活動だと、教員の異動や予算の増減でも揺れる。

対策は、学生を主役にしつつ、骨格を支える主体を別に置くことだ。自治会、地元の工務店、NPOなど、四年を超えて残る組織が管理と契約を受け持ち、学生は企画と運営の先頭に立つ。この分担があれば、代替わりしても活動が引き継がれる。大学側が単位や研究費で後押しする場合も、期限を区切らず、活動の記録を次の学年へ渡す仕組みが欠かせない。

改正空家法の追い風と、斜面地で外せない安全確認

制度面の追い風もある。2023年12月に改正空家法が施行され、放置すれば危険になりかねない「管理不全空家」が新たに対象となった。勧告を受けると固定資産税の優遇が外れる可能性があり、所有者には手放すか使うかを決める動機が生まれた。学生に貸して管理を任せる選択肢は、所有者にとっても合理的だ。

ただし斜面地では、確認すべき点が多い。土を支える壁(=擁壁)が傷んでいないか、今ある家を壊すと新築できない土地(=再建築不可)ではないか、耐震性は足りるか。人が集まる店や宿に用途を変える場合は、法的な手続きも必要になる。楽しさの前に安全を固めることが、長く続く活動の条件である。

ビジネスへの影響

自治体は卒業後も残る担い手を先に決める

自治体や地域団体が最初にすべきことは、学生の企画を募る前に、管理を受け持つ主体を決めることだ。窓口、鍵の保管、近隣への説明、保険の加入先を一覧にして、学生と共有する。あわせて、活動の記録を決まった形式で残すと、毎年の引き継ぎが楽になる。

成果の指標も、来訪者数や近隣の声など、数えられるものを数個選んでおく。補助金の継続審査でも説明しやすい。学生側にも、活動計画を三年先まで書いた簡単な年表を作ってもらうとよい。担当が替わっても、何を目指す活動かが見える。

所有者は短い期間と低い賃料で小さく貸す

所有者や不動産会社にとって、いきなり長期の賃貸契約を結ぶ必要はない。まずは半年から一年の短い期間で、賃料を抑える代わりに、学生が軽微な改修を行える条件が現実的だ。壊れても困る部分、直してよい部分、退去時の扱いを契約書に具体的に書く。口約束は、世代交代のたびにもめごとの種になる。

賃料は低くても、固定資産税や火災保険の負担を誰が持つかを先に決めておくと、双方の見通しが立つ。実績ができれば、次の入居者や買い手に「使われてきた家」として見せられ、資産価値の説明材料にもなる。

改修費は段階に分け、安全に関わる部分から使う

最初の投資は、屋根の雨漏り、水回り、電気、擁壁の点検など、安全に直結する部分に絞る。見た目の改装は活動が軌道に乗ってから進める。自治体の空き家改修補助や、クラウドファンディング、地元企業の協賛も組み合わせると、初期負担を抑えられる。改修の見積りは、解体と運搬、工事、設計の三つに分けてもらうと、補助金の対象になる部分も見分けやすい。

工務店や設計事務所にとっては、小さな案件でも学生と組むことで、地域での認知と将来の施主候補を得られる機会になる。見積りでは、坂道の搬入費を別項目で示すと、依頼者との認識のずれを防げる。

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